今回は決算報告書やニュースレターに不利益発生の詳細分析や責任所在についてのコメントが見当たらない。オスペル会長の辞任についても、「来る4月23日の株主総会時では再任の提案をしない」というようなあいまいな書きぶりだ。 筆者は、かえってそこにオスペル会長の受けた衝撃の大きさを印象る。世界の金融界の中で最も金融リスクを知悉(ちしつ)していたはずの男が、今度こそその恐怖の本性を見て茫然自失している姿が目に浮かぶのだ。再びはまった金融リスクの「罠」はメガトン級 オスペル会長がUBS時代に遭遇した3度の金融リスクは、その中身も規模も時代とともに複雑化、巨大化してきた。 彼が最初に遭遇した97年の旧UBSによる株式オプションの不利益は、株式オプションの期間が5年と長すぎたことと、オプションの対象であった邦銀転換社債の転換価格が変則的でリスクをヘッジできなかったことが最大要因だ。いわば単純なデリバティブの失敗であり、リスク管理が甘かったことは明白だった。オスペル会長が合併相手の大失策をほくそ笑んだのも無理はない。 だが、98年に遭遇したLTCM事件のリスクは「未知との遭遇」だった。LTCMは「デリバティブ産みの親」ともいうべきノーベル経済学者マイロン・ショールズとロバート・マートンを取締役にすえ、彼らの作ったプログラムを使って投資活動していたにもかかわらず突然破綻した。。
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